サ行

G・ヴァイオ
天才にして狂人。第二地球帝国の建国者にして、最後の皇帝。

彼が自らの技術力を背景に一勢力を築き上げるまでの経歴ははっきりしない。

アルブレヒト侯国建国以来百年ほどで、20を超える都市や集団が国家を自称するが、存続できたものは――商業流通を握るアルブレヒト侯国をのぞき――ほとんどなかった。

その中で、G・ヴァイオを名乗る男が作り上げた集団は、比較的持続したと言える。ヴァイオは狂人であったが、紛れもない天才でもあり、大消滅以前の文献を解読し、小形の無限振動炉さえ再現したと言われる。(これについては否定する論説も多い)

確実に言えるのは、彼はある程度の科学知識を再発見し、穢れた地の中に入り込んでも無事に戻って来られるほどの装備を開発するに至ったということである。

それによって第二地球帝国は『荒れ野』の内部を探査し、かつての人類の叡智の一端を持ち出すことに成功した。

だが、それによって増大した国力に頼って二度目の探査を行ったのが、彼と、彼の作り上げた帝国の命取りとなった。

『荒れ野』からわき出た自動殺戮機械に帝国が襲われる中、この狂った天才もまた殺された。

 

ジャイアントインパクト
元来は、地球における月発生の過程における巨大惑星衝突仮説のこと。セルター星系でも似た現象が発生した。この項ではセルター星系におけるジャイアントインパクトについて取り上げる。

人類がセルター星系を発見する40億年以上前、セルターに巨大遊星が接近。当時の第三惑星と衝突し、粉々に破壊した。巨大遊星および旧第三惑星の表面部分の残骸は、小惑星帯として現在の第三惑星とアニの間を漂っている。

衝突は旧第三惑星を破壊するだけにとどまらず、その核を露出させ、内側の軌道へとはじき出した。旧第三惑星の核はアニに接近。直接的な衝突にまでは至らなかったものの、お互いの重力のせめぎ合いの中で核は自壊、巨大な破片がアニの地表に降り注いだ。

これによって当時のアニの表層がはぎとられ、後に軌道上で寄り集まって、三つの月(闇月、蒼月、朱月)を形成する。

なお、アニ地表の金属含有率が異常なほどに高いのは、この旧第三惑星の核が降り注いだためと考えられている。

人類の亜種
『大消滅』によって暴走した帝都周辺の研究施設が吐き出す遺伝子禍(暴走したコンピューターが生み出す狂った遺伝子情報を持つ生物や、ウィルス等)によって、生じた人類の変異体が、種として固定されたものを言う。

人間が遺伝子禍の影響を受けた場合、処分されるか、『穢れた地』に追いやられるか、いずれかの方策が採られる。

これらの放逐された人々が黒森や荒れ野において独自の進化を遂げたものが以下の亜種である。神々の降臨の後、『穢れた地』において亜種として確立していることが確認された。以下、確認された種。

獣人
なんらかの動物の特徴を併せ持つ人間。たいていは、毛皮があり、耳や鋭い爪、牙などを持つ。もっとも元来の人類に近いため、人類の生息域近辺に暮らし、一部は共存している。
剣歯人
巨大な牙を有する人類。主に他の人類を狩り、食糧とする。別名、人喰い鬼(オーガ)。
尾巨人
通常の人類の二倍以上の身長を持つ巨人。太い尾は、体を支える第三の肢として利用される。
狩猟人
黒森地域に暮らす肉食種。二足歩行を放棄し、その代わりに得た四つ足と強靱な肉体で活動する。知性はほぼ捨て去られており、集団での狩りのために必要な言語のみを保持している。
地底人
もっとも謎多き存在。名前の通り地下をすみかとするため、他の種族と接点がない。時代が下ると存在すら確認できなくなっていく。